日時 平成23年6月4日(日)
さぬき市古墳勉強会第20回見学会
見学地
上から椀貸塚古墳・角塚古墳・平塚古墳
大野原中央公園から大野原八幡神社にかけて古墳時代後期、6世紀から7世紀初頭にかけて相次いで造られた巨大な横穴式石室の古墳が3基あります。3基はそれぞれ椀貸塚古墳、平塚古墳、角塚古墳とよばれ、香川県内でも屈指の規模をほこります。6世紀後半になって三豊の地に突如として出現した大型古墳。背景には大野原の開発があるのかもしれません。
椀貸塚古墳測量図
香川県観音寺市大野原町
大野原1913-1
6世紀後葉
直径36m
椀貸塚古墳石室
3基のうちで最初に造られた古墳です。大野原八幡神社の社殿裏に石室への入口があります。横穴式石室は玄室長6.8m、玄室高3.9mあります。玄室の規模は県内最大規模です。
角塚、平塚に比べて石室に多くの石材を使用していること、石室の持ち送りの傾斜が強いことなどから、3基の中で最も古いと考えられます。6世紀後半が指摘されています。
椀貸塚という古墳名から過去にはたくさんの土器が出土した可能性があります。さぬき市の諏訪山古墳や高松市久本古墳でも椀貸塚伝説が残されています。
平塚古墳墳丘測量図
大野原1533
7世紀初
直径約52m
平塚古墳石室
直径49mの円墳で、香川県内では最大の円墳になります。玄室の長さは6.3mになります。
天井石に1石だけ花崗岩が使用されています。椀貸塚では全て砂岩で、角塚は全て花崗岩です。新しくなるにつれた砂岩から花崗岩に使用石材が変化していくことがわかります。
角塚古墳墳丘測量図
大野原1681
7世紀第四半期
角塚古墳石室
椀貸塚古墳の南西500mにあります。角塚という名前にあるように1辺が43mの方墳です。大野原古墳群の中では最も残りのいい古墳です。
横穴式石室は奥壁、側壁がほとんど一枚の石でできているのが特徴で、3基の中では一番新しい古墳と考えられます。玄室の長さ5.4m、高さ2.3mです。
母神山古墳群分布図
ひさご塚古墳と円墳
三豊平野のほぼ中央部にある母神山丘陵にはかつて70基あまりの古墳群がありました。現在では約50基が現存します。
古墳群の中には1基大型の前方後円墳があります。ひさご塚古墳で全長は45mです。埴輪が発見されており、6世紀前半頃の古墳と考えられます。ひさご塚古墳から北西には大型円墳があり、鑵子塚古墳とよばれています。径30mです。埋葬施設は南に入口をもつ横穴式石室です。玄室の長さは5.4mの巨石古墳で大野原古墳群とともに三豊を代表する古墳です。6世紀後半に造られたと考えられます。
香川の古墳といえば積石塚ですが、三豊平野には積石塚は見られません。古墳時代前期の古墳自体が少なく、前方後円墳は発見されておりません。香川の古墳文化は香川県全体で同じではなかったようです。
三豊平野には古墳時代中期に九州の石棺が運ばれてきています(阿蘇溶結凝灰岩、青塚古墳、丸山古墳)。そして、古墳時代後期になるとたくさんの古墳が造られます。母神山古墳群では6世紀前半に前方後円墳であるひさご塚古墳が造られます。1基の前方後円墳を中心にたくさんの円墳が周りに造られます。
6世紀後半になると巨石古墳が出現します。母神山古墳の鑵子塚古墳や大野原古墳群です。大野原古墳群は香川県内でも屈指の大きさであり、この時期に大野原地区の開発が行われたと同時に、香川県内でもトップクラスの権力者がこの地域にいたことが想像されます。