保存木

香川県では昭和53年に「香川県における樹木の保存に関する要綱」を制定し、住みよい生活環境と、郷土の景観を維持するため、所有者(管理者)の同意を得て、現在までに96件の保存木の指定を行なっている。志度支部内では末の三宅邸の胡蝶ワビスケと真覚寺のクスノキが指定済みである。なお、現在申請中のものを含めて、市独自で保存を必要とする保存木には次のようなものが有る。


三宅邸のワビスケ

所在地   さぬき市末555番地
 所有者(管理者) 三宅 洋  
 昭和53年3月23日「香川の保存木」第15号に指定。
 このワビスケは樹高8.5㍍、幹周り0.9㍍、樹齢200年、地上1.5㍍で枝分かれして、東西6.2㍍、南北6.3㍍にひろがっている。毎年1月末から3月初旬にかけて赤白しぼりの杯状で半開きのようにみえる花が咲き、ツバキ科に属するツバキとしては小形であるが葉にも斑入りの部分が見られる。
 ワビスケは昔から茶花として親しまれ、咲き方が上向きや横向きといろいろの品種が出来ている。学者によってツバキとチャの雑種から生じたと考える説と、トウツバキの変種であるとの説とがあって未だ定説はない。子房に多少毛があり、花粉が不完全で実が出来ない。



真覚寺のクスノキ

所在地   さぬき市志度48番地
 所有者(管理者) 真覚寺 安部 慶成
 平成7年「香川の保存木」第154号に指定
 樹高19㍍、幹周り4.4㍍。枝張り東西20㍍、南北18㍍。寺の防風林として450年ほど前に植えられたと伝えられ、樹皮にはノキシノブや地衣類が着生している。
 日本一の黒松・岡野松があまりにも有名で、それが枯死するまでは脇役であったが、バランスよく四方に広がった枝ぶりは大樹の風格を備え、樹勢は極めて旺盛であった。平成16年8月の台風16号による高潮で近辺の草木は多く枯死したなか、よく頑張ったが北側の枝が枯れたため、かなり切り落とされる。



志度寺の大楠

所在地  さぬき市志度1102番地
 所有者(管理者) 十河 章
 樹高20㍍、幹周り8㍍、樹齢推定500年。志度寺本堂と大師堂の中間の北側にあり、志度寺の古さと格式にマッチした大木である。クスノキは日本の暖地や台湾に自生する常緑の大形高木。樹齢は長く1000年以上のも珍しくない。旧志度町内では志度寺のものがもっとも古い。中心の大幹が枯れて白骨化しているのは、昭和21年12月21日南海地震により志度寺庭園と共に地盤沈下を生じたことと、台風襲来で境内に海水が浸入したためである。夏の樹下は涼しく、シキミや盆花売りが賑わう。また前には「クスノキのお地蔵さんが祀られ、子供達の守り仏として里人達に親しまれている。



蓮住寺のナギ

所在地  さぬき市鴨部1518番地
 所有者(管理者) 金子哲雄
 樹高 6㍍、幹周り 2.5㍍、樹齢200年 蓮住寺境内の庫裏の東側にある。11代目住職浄正の手植えといわれる。ナギはマキ科の常緑高木。雌雄異株で5月から6月にかけて開花する。陰樹で耐陰性、耐潮性があり大気汚染にも強い。本州では伊豆七島、紀伊半島、山口県、四国、九州、沖縄、台湾に分布し、特に寒さには弱い。果実は球形で、10月頃熟す。樹皮からはタンニンを取り、染色やなめし皮などに用いる。



地蔵寺の真柏

所在地  さぬき市志度545番地
 所有者(管理者) 栗峰弘文
 樹高20㍍、幹周り5.3㍍の大木で樹齢は不明だが、寺伝では、志度寺本堂で国の重要文化財の十一面観音像を彫刻した残り木から芽を出した物と言われる。枝が上部で張り、幹が高く捻れて、一見して龍が天に登る様な相をして居るので「柏竜」「昇竜柏」の別名がある。柏は中国では吉兆の香木で、葉は緑で四季色を変えないので、松と共に節操の硬い樹木として親しまれている。
 元は境内の東西に二本あり、「夫婦柏」と呼ばれていたが、西側の柏が天保年間の落雷で樹中に空洞が出来、昭和9年の室戸台風で枝がもぎ取られるなどし、傾きが段々ひどくなり、周囲の民家に倒れる恐れが出てきたため、西側の柏は昭和58年1月29日やむなく伐採した。