長尾衝上断層


亀鶴きかく公園の南にある台が山の北面、掘削跡の崖がある。この崖面の中ほどに東西方向にはしる地層境界線が見られる。 これが長尾断層で、花崗岩が第四期の砂礫層に衝上露頭しており、平地で見ることができる断層としてめずらしい存在であることから、香川県は天然記念物に指定している。
境界線の上部は約2億年前の領家花崗岩であり、下部は30万年前の砂礫層や粘土層である。この地域の一般的な地層は、花崗岩の基盤上に砂礫層や粘土層が堆積しているが、長尾断層では砂礫層の上に花崗岩が乗っかかっている。 このように上下が逆になっているようにみえるので逆断層という。ここ長尾断層では30〜40度の低角度で逆転層を構成しているので、とくに衝上断層しょうじょうだんそうという。 断層が出来たときの強い側圧で、硬い花崗岩が幅20〜30mにわたって著しく破砕され、衝上面に沿って幅1〜2mで砂礫状態に変質したり、砂質粘土化している。 この断層は東西30Kmにわたって香川県の中軸部を縦断している。
2004年9月の台風により頂上付近から土砂が崩れ落ちて、断層露頭面がよく分からない状態になっている。


長尾衝上断層 露頭略図
最近の長尾断層景観(2006.4.20 撮影) 花崗岩と三豊層群礫層との逆断層
さぬき市教育委員会により新たに設置された説明標識と最近の断層写真(2006.7.14 撮影)

一部の画像は、香川大学教育学部卜部厚志博士撮影のものを使用させていただきました。
・種 類:天然記念物(地質鉱物)
・所在地:さぬき市長尾名1633