無形民俗文化財


塚原稲荷神社あばれ神輿巡行

長尾西の塚原地区には、鎮守である稲荷神社の祭りで催される特異な「みこし」がある。この神社の祭りには二つの神輿が巡行し、一つはまともな本神輿であり、もう一方は「あばれ」とよぶ神輿である。 「あばれみこし」は、若者が顔に絵の具を塗りたくり、使い古しの衣類を身にまとい「もったいない! もったいない!」と連呼して、俄か神輿をかつぎ、本神輿を押しのけて大暴れする。 池の周りでは、あばれみこしの担ぎて同士が互いに池に放り込む騒動をおこす。この時見物人に対しても手当たり次第に池の中へ。あばれみこしは、地元の農家の人たちが麦藁、芋茎、茄子などの野菜や花などで飾り立てて作っている。 この行列の供は、雨傘と稲穂を持つことになっている。本神輿は、あばれが池で荒れ狂っているうちに無事に渡御を終える。ひょうきんでユーモラスな祭典である。

本神輿と"あばれ"神輿 あばれ神輿 仲間を池に放り込む
・種 類:無形民族文化財
・場 所:さぬき市長尾西

流水灌頂法要

流水灌頂法要りゅうすいかんじょうほうようは、3月13日に高地蔵(さぬき市長尾西と前山の境)で行われる。 法要は高地蔵正面に地蔵菩薩の掛軸を吊り、その左右に真言八祖しんごんはっそ龍猛りゅうみょう龍智りゅうち金剛智こんごうち不空ふくう善無畏ぜんむい一行いちぎょう恵果けいか空海くうかい)掛軸を掛けて、この地区の鬼籍きせきに入った(死んで亡者の籍に記入された)霊、およびこの地で行き倒れたお遍路さんの魂を供養する行事である。この法要は流れ灌頂といわれており、真言密教では灌頂とは頭に水を注ぐことで、仏に縁のある人もない人も成仏できるようにとの願いが込められている。
行事に使われる真言八祖の掛軸は、天保7年(1836年)亀鶴山神正院什物とあるのでかなりの年代ものである。参詣者は経木に戒名や願望を書いてもらい、導師のもとで供養や祈願を行う。導師は宝蔵院極楽寺の住職がこの任にあたる。

高地蔵 供養・祈願(高地蔵) 水路で卒塔婆と樒の儀式
※真言八祖とは、インドで生まれ中国に伝わり、空海に伝わるまでの真言密教の伝持引通でんじぐずうに努めた祖師。
・種 類:無形民族文化財
・場 所:さぬき市長尾西(塚原)