槙川庚申塔


地元で"庚申こうしんさん"の名で親しまれている庚申塔こうしんとう。国道377号線多和小学校槙川分校の前にある旧遍路道の路傍に建てられている。周辺の環境は手入れが行き届いており、近所の人の"庚申さん"に対する熱意が感じられる。この庚申塔は大きさ、彫刻のすばらしさなど全国的にも珍しい存在である。正面の本尊は青面金剛しょうめんこんごうで、背面は道祖神に似て男性器を表現している。青面金剛は邪鬼を踏みつけており、その下には三匹の猿と左右に一対の鶏が彫られており、悪病悪霊すべての災いを防いでくれることを表現している。
庚申講(庚申待、宵庚申)では、60日目に巡ってくる「庚申の日」に講元である家に集まり、飲み食いしながら翌朝の一番鶏が鳴くまで語り明かすという行事であるが、今では親睦の会などに変わっている。


庚申塔の正面 男性器?
  • 種 類: 有形文化財(建造物)
  • 場 所: さぬき市多和


庚申塔のいわれ

庚申こうしん塔は江戸時代に流行した民間信仰の一つで、もとは中国の道教の教えからはじまっている。 旧暦で60日に1度、庚申(かのえさる)の日が巡ってくるが、この夜眠ってしまうと人の体内にすんでいる三尸さんしの虫(彭侯子、彭常子、命児子)が天に昇り、天帝にその人の悪事を報告する。 その結果、罪状によっては寿命が縮まるといわれていた。寿命を縮めないために、この日は身を慎み三尸虫が抜け出せないように、一番鶏が鳴くまで夜眠らないで過ごす。 この教えが広まっていくうちに仏教や庶民の信仰が加わり、全国の農村などで大流行した。 最初は身を慎むことだったが、次第に米や野菜、お金を持ち寄り、みんなで飲食、歓談して過ごす楽しい集いに変わっていった。 庚申塔は、この集会を18回続けた記念に建立した。長寿、健康維持、家内安全、五穀豊穣、現世や来世のことを祈り、それを青面金剛しょうめんこんごう像を中心にして碑面に刻んでいる。

          三猿
中国語の不見・不聞・不言から「見ざる・聞かざる・言わざる」といわれている。


 一般的な庚申塔の図柄