- 墳形による格差として①墳丘裾部を水平に揃える有無や②区画溝の構造があり、前方後円墳と比較して円墳の相対的な墳丘構造の簡略化として捉えられます。
- 地域的な差異としては小礫の使用が指摘でき、多量に使用された鶴羽地域と使用されなかった津田地域という地域性が指摘できます。
- 葺石を含めた石材は流紋岩を一定量含む鶴羽地域に対して、津田地域は大多数が花崗岩を使用するといった地域性があります。
- 墳形、葺石構造からは、古墳時代前期前半の在地的のものから古墳時代前期後半の非在地的なものへと展開いていく状況が窺がえます。
- 墳丘規模の大型化は首長権力の増大として捉えることができます。
- 盛土は古墳時代前期前半にしばしばみとめられるが、古墳時代前期後半になると地山整形が主体となる傾向が看取されます。
津田古墳群は古墳時代前期の中で首長系譜を辿ることのできる古墳群である。
その中で個々の古墳ごとに個性を有しているということは、墳丘が固定化した同一系譜の技術で造営されたのではなく、古墳ごとに造営集団が再組織されたためと考えられます。
古墳名 | 時期 | 墳形 | 墳形規模 | 前方部 | 墳丘裾 | 区画溝 | 墳丘構築方法 | 葺石 | 小礫 | 埴輪 | 埴輪の囲繞 | 刳抜式石棺 |
うのべ山古墳 | 前半 | 前方後円墳 | 全長37 | 山側・撥形 | 水平 | なし | 積石塚 | 石列状 | テラス | 壺型土器 | なし | |
奥13号墳 | 前半 | 前方後円墳 | 全長30 | 平野側 | 傾斜 | なし | 盛土 | なし | ||||
奥14号墳 | 前半 | 前方後円墳 | 全長30 | 山側・撥形 | 傾斜 | =墳丘裾 | 石垣状 | 壺型土器 | なし | |||
奥3号 | 前半 | 前方後円墳 | 全長37 | 平野側・撥形 | 水平 | =墳丘裾 | 盛土 | なし | 壺型土器 | なし | ||
川東古墳 | 前半 | 前方後円墳 | 全長37 | 平野側・撥形 | 傾斜 | 積石塚 | 壺型土器 | 有り | ||||
古枝古墳 | 前半 | 前方後円墳 | 全長34 | 山側・撥形 | 傾斜 | =墳丘裾 | 盛土 | 石列状 | なし | |||
赤山古墳 | 後半 | 前方後円墳 | 全長45〜51 | 山側 | 地山整形 | テラスと墳頂部 | 円筒埴輪 | 有り | 有り | |||
一つ山古墳 | 後半 | 円墳 | 直径25〜27 | 水平 | なし | 盛土 | 規定石に大型石 | テラスと墳頂部 | 壺型埴輪 | 有り | 有り | |
岩崎山4号墳 | 後半 | 前方後円墳 | 全長61.8 | 平野側・直線的 | 水平 | =墳丘裾 | 地山整形 | 規定石に大型石 | 壺型・円筒・形象埴輪 | 有り | 有り | |
龍王山古墳 | 後半 | 円墳 | 直径25 | 傾斜 | ≠墳丘裾 | 地山整形 | 規定石に大型石 | 壺型・円筒・形象埴輪 | 有り | |||
けぼ山古墳 | 後半 | 前方後円墳 | 全長61.8 | 平野側・直線的 | 水平 | ≠墳丘裾 | テラスと墳頂部 | 壺型・円筒埴輪 | 有り | 有り | ||
岩崎山1号墳 | 後半 | 円墳 | 直径18〜19 | 傾斜 | =墳丘裾 | なし | 円筒埴輪 |